ホーム>ファンクショナルブレインセラピー>頭頂葉とは?体の地図と空間認知を支える3つの働き

「よく家具の角にぶつかる」「距離感がうまくつかめない」「体を思ったように動かせない」。こんなことが続くと、”不器用なだけかな”と自分やお子さんを責めたくなりますよね。でも、そこには頭頂葉という脳の領域が関わっているかもしれません。いわば「体の地図」をつくっている場所です。

今日は機能神経学の視点から、この領域の働きをできるだけやさしく解説していきますね。

頭頂葉とは?大脳の4つの葉のなかでの位置づけ

頭頂葉とは、大脳の上のうしろ側にある領域で、触覚などの体性感覚と、視覚・前庭感覚といった情報をまとめ、「自分の体がどこにあるのか」「物がどこにあるのか」を教えてくれる場所です。空間処理と選択的な注意に関わると考えられています。

大脳は大きく4つの葉に分かれています。得意分野を並べると、役割のイメージがつかみやすくなります。

脳の部位 主な役割(一般的な説明)
前頭葉 認知と実行機能。注意や意思決定のコントロールセンターで、主な仕事は「抑制」
頭頂葉 体性感覚と空間処理。「どこにあるか」を教えてくれる
側頭葉 聴覚・嗅覚の処理と長期記憶。「それが何であるか」を解釈する
後頭葉 視覚野。目から入った情報を処理する

つまり「どこ?」の担当と、側頭葉という「なに?」の担当がペアで働くことで、私たちは「机の右手前にコップがある」と一瞬で理解できるわけです。前頭葉については前頭葉の働きとは?集中と抑制を支える3つの役割でも解説しています。

働き①:体の地図(ボディマップ)をつくる

この領域のなかには体性感覚野と呼ばれる部分があり、体のどこがどうなっているかを教えてくれます。脳の中にある自分の体の表現を、私たちはボディマップ(身体図式)と呼んでいます。

ボディマップは、次のような感覚のもとになっていると考えられています。

  • 自分の体の輪郭
  • 自分の体の大きさ
  • 体の位置や傾き
  • 筋肉の緊張ぐあい
  • 関節の角度

おもしろいのは、この地図が触覚・前庭覚(バランスの感覚)・固有覚(筋肉や関節の感覚)から作られているという点です。生まれつき固定されているのではなく、日々の感覚の入力で描き直されていくんですね。

そして地図が実際の自分の体に近いほど、動きはなめらかになり、新しい動作も習得しやすいと考えられています。逆に地図がぼんやりしていると、脳は体の位置を予測しづらくなります。すると必要以上に力が入ったり、動きがぎこちなくなったりすることがあるのです。

働き②:空間のなかの自分をつかむ

もうひとつの大きな仕事が空間認知です。側頭葉とのあいだには「頭頂島前庭皮質(PIVC)」と呼ばれる領域があり、ここで視覚・体性感覚・前庭感覚が統合されると言われています。

ここで行われているのは、複数の感覚の「重みづけ」です。たとえば暗い場所では視覚の情報が減るので、脳は足裏の感覚やバランスの感覚を頼りにします。この切り替えがうまくいくほど、空間のなかで自分がどう動いているかを正確に感じられます。

方向感覚や空間記憶にも関わるとされ、「地図が読めない」「人混みでよく人にぶつかる」といった困りごとの背景に、統合のしにくさがある可能性もあります。目からの情報については目と脳のつながりとは?見る力を支える3つの視点もあわせてどうぞ。

働き③:注意を向け、感覚をまとめる

3つめは「選択的な注意」です。たくさんの感覚が同時に届くなかから、いま必要なものを選び取る働きですね。

また左右で少しずつ得意分野が違うとされ、左側は左右の判断・計算・書字・時間の計画に、右側は形やシンボルの認知、地図の解釈に関わりやすいと説明されることがあります。

ただし、人を「右脳型・左脳型」ときっぱり分けられるという考え方は、大規模な脳画像研究では確認されなかったという報告もあります。左右差はあくまで”連携のクセ”として、優劣ではなくバランスの視点で捉えるのが誠実だと考えています。

体の地図がぼんやりしているときの、気づきの目安

この働きは、日常のちょっとした場面に顔を出します。次のようなことに心当たりはありませんか。

  • 目を閉じて手のひらに数字を書かれても、何の数字か分かりにくい(左右で差がある)
  • 触られた場所を、目を閉じたまま自分の指で示すとズレる
  • 物や家具にぶつかりやすい、駐車の距離感がつかみにくい
  • いつも同じ側だけ張る、姿勢の左右差が気になる
  • 新しい動きを覚えるのに時間がかかる

ただしこれは診断ではなく、あくまで気づきの目安です。当てはまったから問題がある、という話ではありません。「感覚の入り方に個性があるのかもしれない」くらいに受け取ってくださいね。

体の地図を育てる、3つの日常の工夫

ボディマップは感覚から作られるので、日常のなかでも育てていけるという視点があります。脳は何歳からでも変わりうる(神経可塑性)と考えられていますから、大人でも遅すぎることはありません。

  1. いろいろな触り方でさわる……さする、ぎゅっと圧を加える、振動させる、皮膚を伸ばす、軽く叩く。触り方によって働く受容器が違います。気持ちよく感じる触り方を選ぶのがポイントです。
  2. 関節をゆっくり大きく動かす……足首、股関節、肩、首などを、動かせる範囲いっぱいにゆっくり回します。関節からの感覚が増えると、脳はその部位の位置をより正確につかめるようになると考えられています。できれば裸足で行うと、足裏からの情報も増えます。
  3. 「どこ?」を当てる遊びをする……目を閉じて、触られた場所を自分の指で示す。手のひらに書かれた数字を当てる。お子さんとも遊びとして楽しめます。

どれも安全・少量・高精度が基本です。回数をこなすより、ていねいに少しだけ。頭痛や吐き気、気持ち悪さが出たらすぐに中止してください。脳にとっては「心地よい範囲」であることがとても大切です。

ファンクショナルブレインメソッドが体性感覚を見る理由

肩や腰の張りが長引くとき、私たちは気になる場所だけを見ません。体の地図がぼんやりしていると、脳は体を守ろうとして筋緊張を高めたり、動きを制限したりすることがあるからです。

だからこそ、小脳やバランス、感覚の統合といった視点から全身を見立てていきます。小脳の働きと体性感覚は密接につながっていて、片方だけを見ても全体像はつかめません。考え方の詳細はファンクショナルブレインメソッドとはのページでご紹介しています。

まとめ:頭頂葉は「自分の居場所」を教えてくれる

頭頂葉は、触覚・固有覚・前庭覚をまとめて体の地図をつくり、空間のなかの自分の位置を教えてくれる領域です。地図がはっきりするほど、動きはなめらかになり、体は安心して力を発揮しやすくなるかもしれません。

まずは今日、裸足で床の感触を確かめながら足首をゆっくり回すところから。小さな感覚の積み重ねが、脳にとっては大きな情報になります。

よくある質問

頭頂葉と前頭葉は、どう役割が違うのですか?

一般的に、頭頂葉は触覚などの体性感覚と空間の情報をまとめて「どこにあるか」を扱う領域、前頭葉は注意や意思決定をコントロールし、不要な反応を抑える「抑制」を担う領域と説明されます。役割は違いますが、実際には互いに連携しながら働いていると考えられています。

ボディマップは大人でも変わるのでしょうか?

脳には神経可塑性という性質があり、年齢を重ねても新しい感覚の入力によってネットワークが変化しうると考えられています。ただし変化のスピードには個人差があります。短期間で結果を求めず、心地よい範囲でコツコツ続けることが大切です。

紹介された工夫は、子どもと一緒にやっても大丈夫ですか?

触る・関節をゆっくり動かす・触った場所を当てるといった内容は、遊びとして取り入れやすいものです。無理に長時間行わず、お子さんが楽しめる範囲で少しずつ行ってください。気分が悪くなったり嫌がったりする場合は中止し、気になることがあれば専門家にご相談ください。

気になることがあれば、お気軽にご相談ください

「体の使い方がしっくりこない」「姿勢や動きの左右差が気になる」など、体のことでお困りのことがあれば、一度ご相談ください。ご予約はWEB予約フォームから24時間受け付けています。ご質問だけでも大丈夫です。公式LINE(@598isnzb)からもご予約・お問い合わせいただけます。

※本記事はファンクショナルブレインメソッドの考え方に基づく一般的な情報であり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。

Published On: 2026年 8月 29日 Categories: ファンクショナルブレインセラピー