ホーム>ファンクショナルブレインセラピー>発達障害>子どもの読み書きが苦手なのはなぜ?目と脳の3つの育ち

「音読で行を飛ばす」「板書を写すのに時間がかかる」「字が枠からはみ出す」。子どもの読み書きが苦手な様子を見ていると、練習が足りないのかな、やる気の問題かな、と気になってしまいますよね。

でも、読み書きは「文字を覚える」だけで成り立っているわけではないんです。今日は、苦手に見える背景を目と脳の育ちという視点から見ていきましょう。

子どもの読み書きが苦手なのは、脳と体の土台が育っている途中かもしれません

結論から言うと、読み書きは目を思いどおりに動かす力・姿勢を保つ力・手と目を連携させる力という土台の上に成り立っています。この土台が育っている途中だと、文字は分かっていても読み書きがしんどくなることがある、という視点があるんです。

つまり苦手さは「努力不足」や「性格」ではなく、発達の途中経過として見ることができるかもしれない、ということですね。

読み書きは「目・姿勢・手」の連携でできている

教科書を1行読むあいだ、目は細かい仕事をしています。文字の上をなめらかに滑り、行末から次の行の頭へジャンプし、ノートと黒板の間でピントを切り替える。しかもこれを、体をまっすぐ保ち、鉛筆を動かしながら同時にやっているわけです。

この「同時にやる」が高度なんですね。どれか一つに余分な力が要ると、残りにまわせる余力が減ってしまう。だから、読む力は育っているのに長く続かない、疲れて雑になる、ということが起こり得ます。

土台 関わる働き 現れやすい様子(気づきの目安)
①目を動かす力 眼球運動・ピント合わせ 行を飛ばす、読んだ場所を見失う、指で押さえないと読めない
②姿勢を保つ力 前庭覚・小脳・体幹 机に突っ伏す、椅子でぐにゃぐにゃ、すぐ疲れる
③手と目の連携 原始反射の統合・微細運動 筆圧が極端、書くのが遅い、板書が写しにくい

これらはあくまで気づきの目安であり、何かを判断したり決めつけたりするものではありません。「できていないこと」として数えるのではなく、育っている途中のサインとして見てみてください。

①目を動かす力が育つと、文字を追いやすくなる

読書には、文字の上をなめらかに追う動き、行から行へ視線をジャンプさせる動き、近くと遠くでピントを切り替える動きが必要です。これらがぎこちないと、読み飛ばしや読み返しが増えることがあります。「読めない」のではなく「視線を文字にとどめておくのが大変」なのかもしれない、という見方ができるんですね。見ることが目だけの仕事ではない話は目と脳のつながりとは?見る力を支える3つの視点もどうぞ。

②姿勢が安定すると、目と手に余力が生まれる

体を起こしておくのに力を使いきると、目や手にまわす余力が減ります。姿勢を支えるのは、バランス感覚(前庭覚)や小脳といった、無意識ではたらく仕組みです。

③原始反射が残っていると、目と手がつられやすい

原始反射は、赤ちゃんが生きるために備えて生まれてくる自動的な反応で、育ちの中で役目を終えて統合されていきます。統合がゆっくりだと、学齢期の動きに影響が残ることがあると考えられています。

  • ATNR…顔を向けた側の手足が伸びる反応。なめらかな視線追いや焦点合わせが難しくなる、読んでいる列を見失う、筆圧が強い、といった様子と関連づけて語られます。
  • STNR…頭の上下に体が反応する動き。机に突っ伏す姿勢になりやすい、近くと遠くのピント切り替えが苦手、板書の写しが困難、といった話が出てきます。
  • 把握反射…手のひらを刺激すると握る反応。字が乱れやすい、微細運動が苦手、といった様子と関連づけられます。

原始反射と学びの関係は子どもの不器用さはなぜ?脳と体から見る3つの視点でも取り上げています。

家庭でできる3つの遊び

読み書きの土台は、机の上だけでなく遊びの中でも育っていきます。どれも1〜2分で十分。量より頻度で、楽しく続けられる範囲にしてくださいね。

  1. 目でおいかけっこ…シャボン玉やペンの先など、ゆっくり動くものを、顔を動かさず目だけで追います。左右・上下・斜めに20〜30秒ほど。
  2. 近くと遠くの目印ジャンプ…手元のカードと、壁や窓の外の目印を交互に見ます。ポイントは見た先のピントが完全に合うまで待つこと。10往復くらいで十分です。
  3. 体を斜めに使う全身遊び…ハイハイでの追いかけっこ、右手と左ひざのタッチ、雑巾がけなど。左右をまたいで体を使う遊びは、目と手の連携の土台づくりにつながると考えられています。

目の遊びは「少なく、こまめに」が大事

目のトレーニングは、ごく少ない量でも変化が出やすい一方、やりすぎるとかえって調子が崩れやすいという性質があります。長くやるほど良い、ではないんですね。

まぶたがピクピクする、涙が出る、目の奥や頭が痛い、気持ち悪い、顔がこわばる——こうした様子が出たら「今は量が多い」というサインなので、すぐにやめて休みましょう。「安全に・少しだけ・心地よい範囲で」が基本です。目の使い方を体系的に知りたい方には、視覚トレーニング入門書(1,500円)で7つのエクササイズの考え方をまとめています。

画面の時間より「いつ・誰と・何を見るか」

未就学児では、スクリーンメディアの使用が増えると、言語と初期の読み書きの力を支える脳の白質(神経の通り道)の育ちに影響する可能性がある、という研究報告が紹介されています。

ただ、これは「見せてはいけない」という話ではありません。アメリカ小児科学会も、6歳以上では一律の時間制限ではなく、いつ・誰と・何を見るかという質と関わりを重視し、睡眠・運動・読書・遊び・家族との時間を圧迫しない家庭のルールづくりをすすめています。時間を削ることより、体を動かす時間や目を遠くに向ける時間をどう確保するか、と考えるほうが続けやすいかもしれませんね。

まとめ|読み書きが苦手な子どもに、まず土台の視点を

ファンクショナルブレインメソッドでは、苦手さそのものを追いかけるのではなく、脳への入力(見る・感じる・バランス)と、そこから生まれる出力(姿勢・動き)という視点で全身を見ていきます。脳には使い方しだいで新しいつながりを育てる神経可塑性があるので、今の姿は決まったものではなく、育っていく途中と考えることができるんです。考え方はファンクショナルブレインメソッドとは、お子さんの書字に変化があったご感想はお客様の声をご覧ください。

子どもの読み書きが苦手なとき、練習量ややる気の前に、目を動かす力・姿勢を保つ力・手と目の連携という3つの土台に目を向けてみてください。今日からできる一歩は、1日1〜2分の「目でおいかけっこ」と「近くと遠くの目印ジャンプ」、そして体を斜めに使う全身遊びです。

気になることがあれば、お気軽にご相談ください。WEB予約・お申し込みはこちらから受け付けています。公式LINE(@598isnzb)からのご予約・ご質問もどうぞ。

よくある質問

読み書きが苦手なのは、練習が足りないからでしょうか?

練習だけの問題とは限りません。読み書きには、目を動かす力や姿勢を保つ力といった土台が関わっていると考えられています。土台が育っている途中の場合は、練習量を増やすより、遊びの中で目と体の使い方を育てるほうが取り組みやすいこともあります。

目の遊びは、どれくらいの時間やればいいですか?

1つにつき20〜30秒から1分程度、合計でも数分で十分です。目の刺激は少量でも変化が出やすい一方、やりすぎると調子が崩れやすいと言われています。まぶたのけいれんや目の痛み、頭痛や気持ち悪さが出たら、すぐにやめて休んでください。

原始反射が残っているかどうかは、家庭で判断できますか?

ご家庭で判断するものではありません。記事で紹介した様子は、あくまで気づきの目安です。気になることが続くときは、学校や園の先生、医療機関などの専門家にも相談しながら、体の使い方の視点も合わせて見ていくとよいかもしれません。

※本記事はファンクショナルブレインメソッドの考え方に基づく一般的な情報であり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。気になる様子が続く場合は、医療機関などの専門機関にご相談ください。

Published On: 2026年 8月 11日 Categories: 発達障害