ホーム>ファンクショナルブレインセラピー>発達障害>子どもが話を聞かないのはなぜ?耳と脳の3つの視点

「子どもが話を聞かない」——何度言っても伝わらない、返事はするのに動かない。そんな毎日に、つい声を荒げてしまって落ち込む。そんな経験、ありませんか。

じつは、聴力に問題がないのに話が入っていかないように見えるお子さんは、少なくありません。しつけが足りないのかなと、ご自分を責めてしまう保護者の方も多いんです。でも、子どもの「困った」は、脳の育ちのサインかもしれません。今日は、耳と脳のつながりという視点から見ていきますね。

結論:子どもが話を聞かないのは「聞こえ」ではなく「聞き取り」の育ちかもしれません

子どもが話を聞かないように見えるとき、その背景には、耳から入った音を脳が「意味のあることば」として処理する力が、まだ育っている途中である可能性があります。つまり「聞こえている」ことと「聞き取れている」ことは、脳のなかでは別の仕事なんです。

「聞こえる」と「聞き取る」はちがう|聴覚処理と側頭葉の役割

音が耳に届いてから、ことばとして理解されるまでには、いくつもの段階があります。耳は入り口にすぎず、その先の脳のなかでたくさんの処理が行われているんですね。

段階 おもな役割
耳・蝸牛神経 音の高さや大きさなど、基本的な特性を拾う
上オリーブ核(橋) 左右の耳に届く時間差から、音がどこから来たかを分析する
下丘(中脳) 音のするほうへ、とっさに顔や体を向ける
側頭葉・聴覚野 その音が「なに」なのかを、記憶と照らして解釈する
ウェルニッケ野 相手のことばの意味を理解する

頭頂葉が「どこにあるか」を教えてくれるのに対して、側頭葉は「それがなにか」を解釈する場所だと考えられています。だから、耳は問題なく聞こえていても、この処理のどこかが育っている途中だと、聞いたことばの理解が追いつかない、ということが起こりうるんです。

子どもが話を聞かないときに起きているかもしれない3つのこと

1. まわりの音のなかから、声だけを選び出せない

教室のざわめき、テレビの音、きょうだいの声。そのなかから「お母さんの声」だけを取り出すのは、実はとても高度な作業です。背景の音と必要な音を選り分けるのが難しいと、まわりがうるさい場所ほど、聞き取れる量が減ってしまうかもしれません。

2. 複数の指示のうち、最後のひとつしか残らない

「手を洗って、着替えて、宿題を出して」。三つ言ったのに、最後の一つしかやっていない。これは反抗ではなく、複数のことばの指示に順番どおり従ったり、覚えておいたりするのが難しい状態かもしれません。最初に言われたことが抜け落ちてしまう、というパターンです。

3. 音に敏感で、体が身構えている

音に過敏なお子さんは、大きな音や突然の音に体がびくっと反応しやすく、常にどこかで警戒している状態になりがちです。体が「守るモード」に入っていると、ことばをじっくり味わう余裕は生まれにくいと考えられています。

次のようなサインが重なっていないか、そっと観察してみてください。

  • 名前を呼んでも反応が遅い、何度も呼ぶ必要がある
  • 静かな場所ではよく聞けるのに、にぎやかな場所だと入らない
  • 「え?」「なに?」と聞き返すことが多い
  • 言われたことの最後の部分だけを実行する
  • 掃除機・ドライヤー・運動会のピストルなど、特定の音を極端に嫌がる
  • 音のした方向を探すのに時間がかかる

土台にある原始反射という視点

ファンクショナルブレインメソッドでは、こうした聞き取りのつまずきを、脳のいちばん土台にある原始反射という視点からも見ていきます。原始反射とは、赤ちゃんが生き延びるために生まれつき備わっている不随意の運動パターンのこと。音に反応する、手に触れたものをつかむといった反応がそれにあたります。

本来これらは生後1年ほどで役割を終えて「統合」されていきますが、それがゆっくりだと、姿勢や集中とならんで聴覚の処理にも影響が出る可能性があると考えられています。

  • モロー反射が残っていると、音への敏感さや、背景の音のなかで同調しにくい傾向が見られることがあります
  • ATNR(非対称性緊張性頸反射)が残っていると、音を聞き分ける・音源の方向をつかむ・複数の口頭指示を覚えておくといった場面で難しさが出ることがあります

「気が散りやすい」「人の話を聞かない」「音や光に過敏」——これらは、原始反射が残っているかもしれないときのサインとして、講座でもよく挙げるものです。詳しくは落ち着きがない子どもと原始反射の記事もあわせてご覧ください。

家庭でできる3つの関わり方

今日から試せることを3つ。訓練というより、遊びと工夫のつもりでどうぞ。

  1. 指示は「短く・ひとつずつ・目を見て」。三つまとめて言わず、一つ終わってから次を伝えます。「なにするんだっけ?」と復唱してもらうと、ことばが耳から口へ通り抜けて、記憶に残りやすくなるかもしれません。
  2. 音あそびをする。目を閉じてもらい、部屋のあちこちで手を叩いて「どっちから聞こえた?」と指さしてもらう。一定のリズムを手拍子で真似っこする。単語を読み上げて「りんごは何回出てきた?」と数えてもらう。どれも聴覚の処理を楽しく使う遊びです。
  3. 音の環境を整える。大事な話をするときはテレビを消す、宿題の時間だけ静かな部屋にする。環境は脳へのインプットそのものです。音を減らすだけで、入る量が変わることがあります。

いずれも安全に、少量から、心地よい範囲で。嫌がるときや、頭痛・気分の悪さが出たときは、すぐにやめてくださいね。長い時間まとめてやるより、短く毎日のほうが、脳は変わりやすいと考えられています。

ファンクショナルブレインメソッドの視点

私たちは、発達のつまずきを「性格」や「がんばり不足」ではなく、脳と神経の使い方から捉えます。脳には使い方しだいで形を変えていく性質(神経可塑性)があると考えられていて、これは何歳からでも変わりうるという希望の話でもあります。考え方の全体像はファンクショナルブレインメソッドとはのページにまとめています。実際にお子さんの様子が変わっていった例として、「クラスのお友達の話が聞けるようになった」というお客様の声もいただいています。

まとめ|「聞いてない」の裏側にあるもの

子どもが話を聞かないとき、そこにはやる気や態度ではなく、耳から脳へ、そしてことばの意味へとつながる道すじの育ちが関わっているかもしれません。「聞こえ」と「聞き取り」を分けて見るだけで、叱る場面が減り、工夫する場面が増えていきます。

まずは今日、指示をひとつずつ、目を見て伝えるところから。それだけでも、反応が少し変わるかもしれません。

▼ 次の一歩

気になるサインが重なっていたら、原始反射のセルフチェックで、お子さんの土台の様子を見てみてください。ご相談は公式LINE(@598isnzb)からもお気軽にどうぞ。

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よくある質問

子どもが話を聞かないのは、耳が悪いということですか?

聴力そのものに課題がある場合もありますので、気になるときはまず耳鼻科などで確認されると安心です。そのうえで「聞こえてはいるのに理解が追いつかない」ように見える場合は、音をことばとして処理する脳の育ちという視点が役に立つかもしれません。

何歳くらいから取り組めますか?

ご紹介した音あそびや指示の工夫は、幼児期から小学生まで、遊びの延長として取り組めます。脳は年齢を問わず変化しうると考えられていますので、大人になってから始めても意味がないということはありません。

どのくらい続ければいいですか?

期間には個人差があり、一律にお伝えできるものではありません。目安としては、長時間まとめてより、短い時間を毎日という頻度を大切にしてください。お子さんが楽しめている範囲で続けるのがいちばんです。

お子さんの様子を一緒に見ていきたい方は、WEB予約フォームからお申し込みいただけます。まずは聞いてみたいという段階でしたら、公式LINE(@598isnzb)からのご相談・ご予約も承っています。お近くの店舗は認定店一覧からご確認ください。

※本記事はファンクショナルブレインメソッドの考え方に基づく一般的な情報であり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。

Published On: 2026年 9月 19日 Categories: 発達障害